少年事件の全件送致主義とは

全件送致主義とは?

一般的に成人が犯罪を犯してしまった場合、その犯罪の大きさや被害者との示談の成立具合、もしくは加害者のこれまでの様々な経歴等により、不起訴にすると言う事も少なくありません。

これは加害者が今後の社会生活を営む上で十分な反省態度を示している場合や犯罪の重要性について深く理解をしている場合など、刑事事件として起訴をすることで加害者のその後の精神状態や生活態度などに悪影響を及ぼしてしまうことも考えられるためですが、加害者が少年の場合には被害者との示談が成立していたり、事件が軽微なものであったとしても全て家庭裁判所に送致すると言う決まりになっています。

これを少年事件の全件送致主義と言います。

少年事件において全件送致が行われている理由は、未成年者の健全な育成を促進すると言う基本的な考えに基づいているものです。

未成年者は精神状態が成熟しておらず、軽微な事件であってもその重大性を自らの経験から認識することが非常に難しいと考えられる面があるほか、表面的には小さな犯罪であっても本人の内側に大きな事件の元となる考え方が含有されていることが少なくないと考えられているため、本人の考え方の基本的な部分を十分に調査し、様々な問題点を時間をかけて矯正することで社会生活を正常に営むにふさわしい人間となるように教育を行うと言う考え方に基づいています

そのため成人の場合には不起訴となる場合であっても、家庭裁判所に送致され相応の処分を受けることになるのが一般的です。

少年事件の全件送致主義の考え方の中には、社会全体として問題のある少年を更生させ常識的に社会生活を営むことができるようにすると言う基本的考え方があります。

社会においては子供の教育は親の責任と言う大前提がありますが、親の教育が行き届かない場合も現代の複雑な社会の中には往々にして発生し、そのために子供の基本的な考え方が一般的な社会の考え方から逸脱してしまうことも少なくありません。

この場合には子供の根本的な考え方が犯罪を招く要因となる危険性があり、表面化した軽微な事件だけを見てその更生の必要性の有無を判断することが難しいと考えられている面があるため、犯罪を犯したすべての少年に対して原則として起訴を行い、少年院においてその考え方について時間をかけて調査及び構成を行うと言うのが少年事件における全件送致主義の考え方となります。

ただしこれには例外が存在しており、道路交通法にぼける交通違反等は全件送致主義の対象とはなっていません。その理由は道路交通法がその他の犯罪とは異なりあくまでも法律を守らなかったと言う点に注目されていることによるものです。

そのため道路交通法においては通常の成人と同じようにその処分が決められることになります。また交通事故において被害者との示談が成立した場合については不起訴となるケースも多いため、交通事故等における場合についても例外として考えられています。

複雑化する少年事件

近年ではこの全件送致主義について問題視する人も増えています。従来に比べ少年犯罪が複雑化し、犯罪が凶悪化していることや少年自身の成熟度合いが従来に比べ高くなっていることから成人と同じように処罰をするべきと言う考え方も非常に大きくなっており、その反面軽微な犯罪について成人と同様に不起訴とする事例を増やすべきと考えられる面もあります。

実際に小さな事件においては簡易的に送致すると言う形で処理をされた場合には家庭裁判所に送致されることになりますが具体的な調査等は行われずに本人はそのまま自宅に帰されると言う形になるのが一般的です。

そのためこれは事実上の不起訴と同じ扱いとなり、本人が時間的に拘束されることがないためその後の日常生活も通常通り行うことが出来るようになるのが大きな特徴となっています

少年事件において近年非常に問題となっているのが少年の知識の成熟度合いによる犯罪の凶悪化です。従来の少年事件においては考えられなかった様々な事件が発生しており、またこれらについて衝動的な行動ではなく綿密に計画された事件が増えているのも非常に大きな社会問題となっています。

このような事件について従来と同じ様に全件送致主義を適用していたのでは犯罪の抑止につながらないと言う考え方もあり、一定の基準を設けて判断することが必要であると考える人も少なくありません。

少年の犯罪に対する対応はその法律が制定されてから非常に長い期間が経過していることや、その間に日本人の文化や生活様式が大きく変わったこと、及び様々な情報を子供たちが簡単に手に入れることができるようになったことから大きな転機を迎えていると言っても過言ではありません。

その中で犯罪を犯した子供たちをどのレベルまで保護することが必要なのかといった点については今後も大きな議論をしなければいけない点として重要視されており、その結果により子供の犯罪に対する対応を見直さなければいけない時期にきていると考えられます。